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*usr_90.txt* For Vim バージョン 8.1. Last change: 2008 Sep 10 VIM USER MANUAL - by Bram Moolenaar Vim のインストール
Vim を使ふにはまづインストールする必要があります。システムにも依りますが、とても簡單な作業です。本章では、若干のヒントと、新しいバージョンへのアップグレード手順を說明します。
|90.1| | Unix |
|90.2| | MS-Windows |
|90.3| | アップグレード |
|90.4| | よくある問題 |
|90.5| | アンインストール |
最初に、Vim をシステム全體で使ふのか、自分一人で使ふのかを決めてください。インストール方法はほぼ同じですが、インストールするディレクトリが異なります。
システムにインストールするときは、ベースディレクトリとして大抵は "/usr/local" が使はれます。ただし、これはシステムによつて異なります。インストールされてゐる他のパッケージを參考にするなどして調べてください。
自分一人で使ふ場合は、例へばホームディレクトリをベースディレクトリにします。ファイルはその下の "bin" や "shared/vim" などに置かれます。
Unix システムごとにコンパイル濟みバイナリが用意されてゐます。次のページにパッケージへのリンクが一覽されてゐます:
http://www.vim.org/binaries.html
バイナリのメンテナンスはボランティアベースなので、古いままになつてゐることが多々あります。自分でソースからコンパイルする方が無難です。自分でコンパイルすることによつて組み込む機能をコントロールできるやうにもなります。それが必要な場合はどのみちコンパイルが必要です。
Linux を使つてゐる場合、"vi" はおそらく最小構成の Vim です。それには例へば構文强調表示などの機能はありません。そのディストリビューションから別の Vim パッケージが配布されてゐないか、あるいは Web サイトで公開されてゐないか調べてみてください。
Vim をコンパイルしてインストールするには、次のものが必要です:
Vim のアーカイブを入手するには、次のファイルを見てダウンロード速度が最も早いであらう近くのミラーを探してください:
ftp://ftp.vim.org/pub/vim/MIRRORS
Vim のホームサイト ftp.vim.org で十分な速度が出るならそれでも構ひません。"unix" ディレクトリにファイルが入つてゐます。バージョン番號はファイル名に埋め込まれてゐます。特に事情がなければ最新のバージョンをダウンロードしてください。
ファイルの入手方法は 2 通りあります。すべてのファイルが含まれた 1 つの大きなアーカイブをダウンロードするか、フロッピーサイズの 4 つの小さなアーカイブをダウンロードします。例へば、バージョン 6.1 の大きなアーカイブは次の名前です:
vim-6.1.tar.bz2
このアーカイブの展開には "bzip2" が必要です。それがない場合は 4 つの小さなファイルをダウンロードしてください。それらは gzip で展開できます。Vim 6.1 なら次のやうな名前になつてゐます:
vim-6.1-src1.tar.gz vim-6.1-src2.tar.gz vim-6.1-rt1.tar.gz vim-6.1-rt2.tar.gz
まず作業用のディレクトリを作成します。例:
mkdir ~/vim cd ~/vim
この場所でアーカイブを展開します。大きなアーカイブを使ふ場合は、次のやうにします:
bzip2 -d -c path/vim-6.1.tar.bz2 | tar xf -
"path" の部分は適當に變更してください。
gzip -d -c path/vim-6.1-src1.tar.gz | tar xf - gzip -d -c path/vim-6.1-src2.tar.gz | tar xf - gzip -d -c path/vim-6.1-rt1.tar.gz | tar xf - gzip -d -c path/vim-6.1-rt2.tar.gz | tar xf -
欲しいのがデフォルトの機能だけで、環境が適切に設定されてゐるのであれば、次のコマンドを實行するだけでコンパイルできます:
cd vim61/src make
make プログラムによつて configure とコンパイルが實行されます。設定を變更してコンパイルする方法については後で說明します。
コンパイル中にエラーが發生した場合は、エラーメッセージをよく見てください。何が惡かつたのかを知るヒントが出てゐるはずです。可能ならそれを修正してください。もしかしたら何かの機能を無效にする必要があるかもしれません。Makefile を見て自分のシステム特有のヒントがないか確認してください。
コンパイルが正しくできたかどうか確認します:
make test
Vim が期待した動作をするかどうかをテストスクリプトを使つて檢査します。Vim が何度も實行され、樣々なテキストやメッセージが表示されます。最後に次のやうに表示されたら檢査は合格です:
test results: ALL DONE
テストが失敗すると "TEST FAILURE" と表示されます。失敗メッセージが 1 つか 2 つ表示された場合は、Vim はとりあへず動作してゐますが完全ではありません。エラーメッセージがたくさん表示されたり、テストが最後まで完了しなかつた場合は、何か問題があります。自分で解決するか、誰かに聞いてください。メーリングリストの過去ログ (|maillist-archive|) に答へがあるかもしれません。どうしても解決できない場合はVim のメーリングリスト (|maillist|) で質問してみてください。
ホームディレクトリにインストールする場合は、Makefile を開いて次の行を探してください:
#prefix = $(HOME)
行頭の # を削除します。
システムにインストールする場合は、適切なディレクトリが自動的に選擇されます。自分でディレクトリを指定する方法は後述します。以下の作業は root で實行する必要があります。
次のコマンドで Vim をインストールします:
make install
必要なファイルが適切な場所にコピーされます。Vim を起動してみて正しくインストールできたかどうかを確認してください。2 つの簡單なテストで、Vim がランタイムファイルを檢出できてゐるかどうかを確認します:
:help :syntax enable
うまく動作しない場合は、次のコマンドで、Vim がどこからランタイムファイルを探してゐるのか確認してください:
:echo $VIMRUNTIME
また、Vim の起動時に "-V" 引數を付けることで、起動中に起きてゐることを見ることができます:
vim -V
ユーザーマニュアルは Vim が適切に動作することを前提に書かれてゐます。Vim のインストールが終つたら、|not-compatible| の說明に從つて、Vim を適切に設定してください。
機能を選擇する方法はいろいろあります。最も簡單なのは Makefile を編輯する方法です。Makefile には多くの說明やサンプルが書かれてゐます。大抵は行をコメントアウトすることで機能を有效/無效にできます。
make とは別に "configure" を實行する方法もあります。オプションを個別に設定することができます。ただし、オプションを正しく理解して、正確に指定する必要があります。
よく使はれる引數を次に示します。これらは Makefile からでも有效にできます。
–prefix={directory} | Vim をインストールするトップディレクトリ |
–with-features=tiny | 多くの機能を無效にしてコンパイル |
–with-features=small | 一部の機能を無效にしてコンパイル |
–with-features=big | 多くの機能を有效にしてコンパイル |
–with-features=huge | ほとんどの機能を有效にしてコンパイル。いつどの機能が有效になるのかは |+feature-list| を參照してください。 |
–enable-perlinterp | Perl インターフェイスを有效にする。同樣に、ruby、python、tclなどもあります。 |
–disable-gui | GUI インターフェイスをコンパイルしない。 |
–without-x | X-windows の機能をコンパイルしない。これら 2 つが指定された場合、Vim は X サーバーに接續しません。起動が早くなります。 |
オプションの一覽を見るには次のやうにします:
./configure --help
各機能の簡單な說明と、より詳しい情報へのリンクは |feature-list| にあります
。冒險野郞な人は "feature.h" を開いてみてください。自分でソースコードを改造することもできますよ!
Vim を Microsoft Windows にインストールする方法は 2 つあります。複數のアーカイブを展開するか、インストーラ形式の大きなアーカイブを使ひます。最近のコンピュータを使つてゐるほとんどのユーザーはインストーラを使ひます。複數のアーカイブを展開する方法には次のものが必要です:
Vim のアーカイブを入手するには、次のファイルを見てダウンロード速度が最も早いであらう近くのミラーを探してください:
ftp://ftp.vim.org/pub/vim/MIRRORS
Vim のホームサイト ftp.vim.org で十分な速度が出るならそれでも構ひません。"pc" ディレクトリにファイルが入つてゐます。バージョン番號はファイル名に埋め込まれてゐます。特に事情がなければ最新のバージョンをダウンロードしてください。ここでは "61" (バージョン6.1) を使つて說明します。
gvim61.exe インストーラ
必要なのはこのファイルだけです。ファイルを實行し、表示される指示に從つてください。
アーカイブを自分で展開する方法の場合、使用するアーカイブを選擇する必要があります。次のものがあります:
gvim61.zip | 普通の MS-Windows GUI バージョン。 |
gvim61ole.zip | OLE サポート付きの MS-Windows GUI バージョン。メモリを食ひますが、他の OLE アプリケーションとの通信をサポートしてゐます。 |
vim61w32.zip | 32 ビット MS-Windows コンソールバージョン。Win NT/2000/XP コンソール用。Win 95/98 では適切に動作しません。 |
vim61d32.zip | 32 ビット MS-DOS バージョン。Win 95/98 コンソール用。 |
vim61d16.zip | 16 ビット MS-DOS バージョン。古いシステム用。ロングファイルネームはサポートされてません。 |
必要なのはどれか 1 つだけです。GUI バージョンとコンソールバージョンを兩方インストールすることもできます。いづれの場合でも、さらにランタイムファイルのアーカイブをダウンロードする必要があります。
vim61rt.zip ランタイムファイルのアーカイブ
zip 展開プログラムを使つてファイルを展開してください。例へば、"unzip" プログラムを使ふ場合は次のやうにします:
cd c:\ unzip path\gvim61.zip unzip path\vim61rt.zip
この例では "c:\vim\vim61" にファイルが展開されます。既にどこかに vim といふディレクトリがある場合は、その親ディレクトリで實行してください。
"vim\vim61" に移動して、install プログラムを實行します:
install
メッセージをよく讀んでオプションを選擇してください。最後に "do it" を選擇すると、それまでの選擇に從つてインストールが實行されます。
インストールプログラムはランタイムファイルを移動しません。それらは展開した場所にあるままです。
提供されてゐるバイナリに、必要な機能が不足してゐる場合は、自分で Vim をコンパイルしてみてください。ソースのアーカイブはバイナリと同じ場所にあります。對應する Makefile が用意されてゐるコンパイラも必要です。Microsoft Visual C は使へますが高價です。MinGW と Cygwin のコンパイラは無料で使へます。詳しくは "src/INSTALLpc.txt" を見てください。
既に Vim がインストールされてゐるところに新たに Vim をインストールする方法を說明します。
"make install" を實行すると、ランタイムファイルはバージョンごとのディレクトリにコピーされます。つまり以前のバージョンは上書きされません。複數のバージョンを同時に使ふことができます。
古いバージョンの "vim" 實行ファイルは上書きされます。古い實行ファイルが必要ない場合は單に "make install" を實行してください。ランタイムファイルは手動で削除します。古いバージョンのランタイムディレクトリを削除するだけです。例:
rm -rf /usr/local/share/vim/vim58
普通はこのディレクトリ以下のファイルが變更されることはありません。しかし、例へば "filetype.vim" などを變更した場合は、削除する前にその變更を新バージョンの方にマージしてください。
新しいバージョンに切り替へる前に試用期閒を設けたい場合は、新しいバージョンを違ふ名前でインストールしてください。configure に引數を設定する必要があります。例:
./configure --with-vim-name=vim6
"make install" を實行する前に "make -n install" を實行し、大事なファイルが上書きされないか確認してください。
評價の結果、新しいバージョンに切り替へると決めたら、實行ファイルの名前を變更します。例:
mv /usr/local/bin/vim6 /usr/local/bin/vim
アップグレードは新しいバージョンをインストールするのとほぼ同じです。古いバージョンと同じ場所にファイルを展開してください。新しいディレクトリ (例へば "vim61") が作成され、その下に新しいバージョンがコピーされます。ランタイムファイル、vimrc、viminfo などはそのまま殘ります。
古いものをそのままにして新しいバージョンを實行したい場合は、多少の手作業が必要です。install プログラムを實行すると、古いバージョンのためのファイルがいくつか上書きされてしまひます。新しいバイナリをフルパス指定で實行してください。正しいバージョンのランタイムファイルが自動的に檢出されます。ただし、$VIMRUNTIME 變數が定義されてゐる場合はうまく機能しません。
アップグレードが滿足のいくものであつたなら、舊バージョンのファイルを削除してください。|90.5| 參照。
Vim のインストール時に起こる問題と、その解決方法を說明します。インストールに關する質問にも答へます。
Q: 私には root 權限がありません。Vim をインストールできますか? (Unix)
次のやうな引數を付けて configure を實行してください。この例では $HOME/vim に Vim がインストールされます:
./configure --prefix=$HOME
自分のディレクトリに Vim がコピーされます。エディタを實行するには $HOME/bin にパスを通す必要があります。|install-home| も參照。
Q: 私の畫面では表示される色が正しくありません (Unix)
端末の設定を確認してください。シェルの上で次のコマンドを使ひます:
echo $TERM
表示された端末タイプが正しくない場合はそれを修正します。詳しくは |06.2| を參照してください。あるいは、gvim と呼ばれる GUI 版の Vim を使つてください。GUI なら端末を正しく設定する必要はありません。
Q: Backspace キーと Delete キーが正しく動いてゐないやうです
キーが押されたときに送信されるコードが Backspace <BS>
と Delete <Del>
についてはとてもあゐまいです。まづ、$TERM
の設定を確認してください。それが問題なければ、次の設定を試してください:
:set t_kb=^V<BS> :set t_kD=^V<Del>
1 行目の ^V<BS> は CTRL-V を押してから Backspace
キーを押します。2 行目の ^V<Del> は CTRL-V を押してから Delete
キーを押します。この二行を vimrc ファイルに書いておくこともできます (|05.1|參照)。ただし、この方法は端末を變更すると機能しなくなります。これ以外の解決方法は |:fixdel| を參照してください。
Q: 私は RedHat Linux を使つてゐます。システム附屬の Vim は使へますか?
RedHat にはデフォルトで最小構成の Vim がインストールされます。"Vim-enhanced-version.rpm" のやうな名前の RPM パッケージを探して、それをインストールしてください。
Q: テキストを色付きで表示するには? プラグインを動かすには?
サンプルの vimrc スクリプトを使つてください。說明は |not-compatible| にあります。
構文强調表示については第 6 章を參照してください: |usr_06.txt|。
Q: 便利な vimrc ファイルの例はありますか?
Web サイト (www.vim.org) に良い例がいくつかあります。
Q: 便利な Vim プラグインはどこにありますか?
Vim-online サイト (http://vim.sf.net) を參照してください。多くのユーザーが便利な Vim script やプラグインをアップロードしてゐます。
Q: 便利な Tips はどこにありますか?
Vim-online サイト (http://vim.sf.net) を參照してください。Vim のユーザーから寄せられたヒントが集められてゐます。メーリングリスト (|maillist-archive|) を檢索するのもいいでせう。
Vim をアンインストールする機會はあまりないと思ひますが、その方法を說明します。
Vim をパッケージからインストールした場合は、パッケージマネージャーを確認し、パッケージの除去方法を調べてください。 ソースからインストールした場合は、次のコマンドでアンインストールできます:
make uninstall
元のファイルを削除してしまつた場合や、誰かが作つたアーカイブからインストールした場合は、この方法は使へません。手作業でファイルを削除してください。例へば "/usr/local" にインストールした場合は以下のファイルを root 權限で削除します:
rm -rf /usr/local/share/vim/vim61 rm /usr/local/bin/eview rm /usr/local/bin/evim rm /usr/local/bin/ex rm /usr/local/bin/gview rm /usr/local/bin/gvim rm /usr/local/bin/gvim rm /usr/local/bin/gvimdiff rm /usr/local/bin/rgview rm /usr/local/bin/rgvim rm /usr/local/bin/rview rm /usr/local/bin/rvim rm /usr/local/bin/rvim rm /usr/local/bin/view rm /usr/local/bin/vim rm /usr/local/bin/vimdiff rm /usr/local/bin/vimtutor rm /usr/local/bin/xxd rm /usr/local/man/man1/eview.1 rm /usr/local/man/man1/evim.1 rm /usr/local/man/man1/ex.1 rm /usr/local/man/man1/gview.1 rm /usr/local/man/man1/gvim.1 rm /usr/local/man/man1/gvimdiff.1 rm /usr/local/man/man1/rgview.1 rm /usr/local/man/man1/rgvim.1 rm /usr/local/man/man1/rview.1 rm /usr/local/man/man1/rvim.1 rm /usr/local/man/man1/view.1 rm /usr/local/man/man1/vim.1 rm /usr/local/man/man1/vimdiff.1 rm /usr/local/man/man1/vimtutor.1 rm /usr/local/man/man1/xxd.1
インストーラを使つてインストールした場合は、Vim の實行ファイルと同じディレクトリ (例: "c:\vim\vim61") にある "uninstall-gui" プログラムを實行してください。スタートメニューに登錄した場合は、そこから起動しても構ひません。それによつて、ほとんどのファイルと、メニューと、デスクトップのショートカットが削除されます。いくつかのファイルは削除されずに殘るかもしれませんが、それらを削除するには Windows の再起動が必要です。
"vim" ディレクトリをまるごと削除するといふ方法もあります。あなたが作成した vimrc ファイルやランタイムファイルがそこに保存されてゐる場合は愼重に實行してください。
zip アーカイブからインストールした場合は、"uninstall" プログラムを使つてください。"install" プログラムと同じディレクトリにあります (例: "c:\vim\vim61")。コントロールパネルの「アプリケーションの追加と削除」からも削除できます。
ただし、これはレジストリの登錄を削除するだけです。ファイルの削除は自分でやる必要があります。單に "vim\vim61" をまるごと削除します。そこにあなたが變更を加へたファイルは保存されてゐないと思ひますが、念のため確認してください。
"vim" ディレクトリにあなたが作成した vimrc ファイルやランタイムファイルが入つてゐるなら、それらは殘しておいた方がいいかもしれません。
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